補足・政治体制の違い 2010 9 20
以下の「政治体制の違い 2010 9 20」の文章では、
誤解を生む可能性がありますので、補足をしておきます。
検察庁は、行政権に属する行政官庁ですが、
一般的には準司法機関と呼ばれています。
また、政治的な圧力を不当に受けないように、
ある程度の独立性が認められているのです。
検察庁法では、法務大臣の指揮権は、
「個々の事件の取調又は処分については、
検事総長のみを指揮することができる」と限定されています。
ただし、この指揮権発動は、政治的には困難で、
実際には、戦後、指揮権が発動されたのは、1回のみです。
現在、日本では、この指揮権はタブー化されてしまった観があります。
政治体制の違い 2010 9 20
今日も、また、以下の本を取り上げましょう。
書名 知らないではすまない中国の大問題
著者 サーチナ総合研究所 アスキー新書
(以下、引用)
日本の場合、政党は国(政府)の下にありますが、
中国では違います。
中華人民共和国憲法は、中国共産党を、
「中華人民共和国を指導する政党」と明記しています。
国(中国政府)よりも中国共産党のほうが上に位置するのです。
日本では、2009年9月の総選挙で民主党が圧勝し、政権交代が実現しましたが、
政権党が入れ換わっても、国そのものが変わるわけではありません。
しかし、中国の場合は、国の上に共産党があるわけですから、
もしも、中国共産党が政権を失えば、
中国という国自体が「別の国」になってしまうことになります。
したがって、中国共産党にとって、政権を維持することの重圧は、
日本の政党の比ではありません。
権力を保ち続けたいという欲望だけでなく、
失えば国そのものがおかしくなってしまうという強い恐怖感、
善意に解釈すれば、
「この国を支えられるのは自分たちしかいない」という使命感をバネに
国政を動かしているのです。
中国共産党や中国政府が、常に民衆の声に怯えている理由はここにあります。
政権を維持するためには、民衆の不平不満を鎮め、
社会の秩序と安定を保たなければなりません。
そのためには、すべての民衆をなるべく平等に豊かにすることが必要です。
(以上、引用)
さらに加えるとすれば、日本と中国の違いは、
三権分立と地方自治にあります。
日本の場合は、国家の権力を、立法、行政、司法の三権に分け、
権力集中や権力の濫用を防止し、
国民の政治的自由を保障するシステムとなっています。
同時に、こうした三権は、互いに独立していますので、
行政が司法の判断に口出しをすることはできません。
さて、中国人に有名な政治家と言えば、田中角栄氏でしょうか。
自民党全盛時代、田中元首相は、日本の政界では最高の実力者でした。
それでも、法律に反したとして逮捕されてしまいました。
当時、元首相を逮捕する理由としては、
逮捕理由が微罪ではないかという議論もありましたが、
法律に反したことには違いないのです。
(裁判官は、逮捕状の請求があったときは、
逮捕の理由と逮捕の必要を審査して、
逮捕状を発付するのか請求を却下するか判断する(刑事訴訟法))
次に、地方自治も憲法によって保障されていますので、
地方政府が中央政府の意向を無視した政策を取ることも可能です。
さらに地方議会は、地方政府よりも自由度が高いので、
中央政府の意向とは反対の議決をすることがあります。
中国人から見れば、「それでは国がばらばらになってしまい、
結果として、国力が低下してしまうのではないか」という指摘があると思います。
確かに、国際情勢や世界経済が不透明な現在、
日本において、よく話題にのぼる「道州制」は時期尚早かもしれません。